来世はマリモだった。

糸がほつれるのでたまに治してください

『元の場所に戻してくれ』

 

真実

どうしてだい‥?僕が色んな生き物をイジメてきたから?僕がマリモとお話できるから?

僕にとってキミが必要なんだよ‥。これからもずっと!

 

(マリモ)‥

 

なんで?なんで何も言わないんだ。喋れるんだろ(焦!?

僕があの棚に戻したら誰も買ってくれないかもしれないんだぞ!!キミみたいな藻が集まってできた生き物はこれからもずっと暗いところで日々過ごしていくんだぞ!!それでもいいの?

 

(マリモ)キミは僕のこと何も知らない。そして今話したことも全部自分の都合だ。キミみたいな人はボクを飼ってはいけないんだ。キミには他の生き物を幸せにしてあげてくれ‥。(そう‥飼ってはいけないんだ‥) 

 

ねぇ、マリモ。僕が大切にしてる言葉。一つ言っていい?

 

なんだ?

 

『罪を憎んで人を憎まず』

僕が学んだ言葉なの。イタズラを繰り返してきた僕ら友達は生き物に対して大きな罪を犯してしまった。これから僕は通りすがりにイタズラをしてる人に遭遇するかもしれない。でもその人は元々心優しい持ち主で気まぐれでしてるかもしれない、僕だったように‥

からしてることは大きな罪だけどその人自身を恨まないでほしいと思って。

なんか急にごめんね‥ありがとう、久しぶりに生き物と話せて楽しかった。今日はもうお店閉まるから明日返すね。

 

 

 

 

 

 

 

敢然

ごめんね、僕なんかに飼われて‥今までの罪を償たくて

これからは大事に育てるよ。

 

「わかった」

実際にボクたち生き物の声が聞こえることや主の罪もよくわかった。

そのかわりボクのお願いを一つ聞いてくれるかい!?とても簡単だから‥

 

『ボクを元の場所に戻してくれ』

生き物の声

 

夢だったのか‥?ボクは一体‥。ここ‥は‥

 

『!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 

じー

今日からよろしくね、キミの声、届いたよ。

「?」

 

キミが僕に買われて嫌がる声や、スカートの中覗こうとしたことや‥

「!!!!!!!!!!!」

どうして?なんで?ありえない‥。

人間には僕たち生き物の声が聞こえないはず‥

「聞こえるよ」

「!!!!!!!!!!!」

聞こえるというか正確には僕にだけ聞こえるの

ある日を境に生き物の声が聞こえるようになって‥

 

過去

僕が小さい頃、お友達と毎日当たり前のように昆虫や生き物にイタズラしたり喧嘩させたりしてたんだ。でも僕の飼ってたハムスターやトカゲ達が突然元気がなくなり、瀕死状態になってしまった。今となっては当たり前か‥。

でもそれでもイタズラをやめなかった僕に一回だけかすかに声が聞こえたんだ。

とても苦しそうな声で、「やめ‥て‥」と。

その生き物から聞こえた声はその1回だけだった‥。僕は幼いながらもその時、体の中から衝撃が走ったんだ

 

 

 

 

それから色んな生き物を飼ってみたんだけどどれも声が聞こえない。僕は自分の中であの苦しそうな声は自分の心の叫びだったんだと無理矢理解釈をすることにした。

それから数年経って、今日ここに買い物しにきた時にあの声が聞こえたんだ。

それはあの時の苦しそうな声じゃなくてまだ元気のある声で喋りかけてくるかのように、ハッキリと!

 

 

買い手現る。

おい!聞いてんのかっ!おいっ!!

(スタスタスタ‥)

 

あまり揺らすな、糸がほつれてしまうじゃねーか。

(スタスタスタ‥) ピッ、

っ!!!!!!!!!!

 

俺、購入されてる!!!!って男じゃねーか!!!

やばいやばい、どうしよどうしよ。イヤだイヤだ‥やめろやめるんだ!!!

ありがとうございました

 

 

あ”ぁぁぁぁぁぁぁ

 

(色んなマリモ友達に会えてお喋りして、お魚コーナーのメダーカちゃんにも仲良くなれて、これから僕は商品としてずっと陳列のままでいてもよかったと思ってたのに‥)

 

買われた先は、男だし水が吹きこぼれてきそうで糸がほつれてきてる。

僕はこのまま‥